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zoom RSS いまだかつてない緊張感の中で戦うノルウェー選手たち

<<   作成日時 : 2016/12/03 17:18   >>

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今月26日(土)から、とうとうW杯がフィンランド Ruka で開幕した。今シーズンは、オフ期にノルウェーのMartin Johnsrud Sundbyの喘息薬の不適切な使用問題、更には Therese Johaug のドーピング違反薬を含む塗り薬使用による陽性反応問題で、今まで、クリーンなイメージの強かったノルウェーを見る世間の目が、非常に厳しくなった。Sundbyは2か月の競技活動停止処分を経て、第一線に復帰しているが、Johaug については、つい先日、ノルウェー・アンチ・ドーピング機構より、14か月の競技活動停止処分が妥当、との判断が下っており、今シーズンの競技活動の可能性はほぼ断たれた。活動停止期間は、ドーピング陽性反応が確認された2016年10月18日より、ピョンチャン・オリンピック開幕の2か月前に処分が明ける予定で、Johaug は非常に厳しい立場に追い込まれている。


ライバル国スウェーデンの、ノルウェーに対するバッシングは凄まじく、ノルウェー選手の殆どが、ドーピングをしている、と言わんばかりの報道を今も続けている。選手の中にも、例えば、フランスのMaurice Manificat の様に、「健康に問題があるアスリートは、競技活動をする資格がそもそも無い、薬に頼ってまで競技をするな」と、Sundbyに向けた避難とも取れる発言をしている(個人的には、この発言には非常に不快感を覚えた)。以前から Bjorgen の喘息薬の使用に対して、ドーピング行為だと、目の敵にしていた Kowalczyk や、以前はドーピングスキャンダルにまみれていたフィンランドで、アンチ・ドーピング活動を積極的に行っている Aino-Kaisa Saarinen なども、この度のノルウェーの不祥事には、辛口の発言を続けている。


今シーズン、ノルウェーチームが今までと変わらず圧倒的な強さを見せつければ、それ見たことか(ドーピングをしているからだろう)・・・と思われ、他国選手に競り負ければ負けたで、それ見たことか(ドーピングを止めたらからだろう)・・・と思われる。ノルウェー選手は、いまだかつてない、厳しいプレッシャーの中で今シーズンを戦っていると言っていい。


そんな中で、Ruka 開幕戦では、そのノルウェーから、新たな超新星が現れた。若干20歳の John Hosflot Klabo は、ノルウェー国内開幕戦 Beitostolen のスプリントで優勝し、体調不良の Eirik Brandsdall に代わって出場した Ruka スプリントでは、予選ラウンドをトップで通過、決勝ラウンドでは見事3位になった。ノルウェーチームのスプリンター、Emil Iversen をはじめ、スウェーデンのスプリンター Emil Jonsson も声をそろえて、新たなスターの誕生だ、としている。Beitostolen はフリー、Ruka はクラシカルと、両テクニックで結果を出したところに彼の強さを感じる。昨日のLillehammer 3 Day-Mini-Tour 初日のCL SPでは、準決勝で惜しくも敗退したものの、予選ラウンドは2位で通過した。現時点では、ナショナルチームのリザーブ・メンバーに留まっているが、今後の活躍が期待される。


ノルウェー男子スプリンターの選手層は非常に厚く、Ruka スプリントで優勝した、Pal Golberg (26) も、Klabo 同様リザーブ・メンバーだ。先シーズンからナョナルチームのメンバーから外れており、一時は真剣に引退を考えていた。そんな彼だが、シーズン直前の高地合宿の疲労が抜け切れず、Ruka の出場を見合わせたPetter Northug Jr. (30) の代わりに出走して、見事結果を出して底力を見せた。昨日のLillehammer CL SP では予選ラウンドを3位で通過し、決勝では不運にもスタート時にグリップワックスが雪面に張り付いて遅れをとり、6位に終わったが安定感のある滑りを見せている。


昨日のLillehammer CL SPの準々決勝で、Finn Hagen Krogh (26) は 、テクニカル・バイオレーションで、準決勝に駒を進めることは出来なかったが、フィニッシュ手前 100m 程の距離から、本人の身長の1.5倍には見える大きな滑り、尋常ではないスピードのDPで猛追を見せ、2番手でフィニッシュラインを切った姿は、非常に印象的だった。Heidi Weng (25) は昨日、SPで初の優勝を果たしたが、その決勝戦では、フィニッシュ手前 50m 程で、チームメイトで名スプリンターの Maiken Caspersen Falla (26) の後ろより、優勝への執念が体から迸る様な滑りで、Falla から勝利を「奪い取った」と言っていい。男女共に選手層が非常に厚いノルウェーは、両選手のみならず、選手の多くが、少しでも上位に食い込もうとする危機感、切迫感を持ってレースに臨んでおり、この緊張感は今まで以上に凄まじく感じる。


昨年12月27日に長男を出産した Marit Bjorgen (36) は、産後、体調不良や故障に見舞われ、オフ期は苦労もあった様だが、WC Ruka 開幕戦の 10K FR では圧巻の滑りで優勝を果たした。ドーピング問題に揺れているノルウェーチームの精神的支柱になっており、一児の母でもある Bjorgen が、今まで通りシーズンを通して活躍が出来るのか、注目されるところだ。









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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも詳しく、論理的な記事ありがとうございます。SPと10kmF両方勝ったHALFVARSSON Calle すごいですね。確か世界選手権のリレーのアンカーで二度続けてNORTHUG Petter Jr. にやられたことがあったと思いましたが、その悔しさを向上心に変えてるのかも知れませんね。それと最も手本にするべきFの走りをすると、個人的に思っているUSTIUGOV Sergey も好成績だったので素晴らしいです。
あと、2009年の世界戦SPで当時の他の女子とは一線を画すFのテクニックを見せていた( 優勝はできませんでしたが )MATVEEVA Natalia の名前もRuKaで久々に目にした気がするので良かったです。
ところで、日本の選手の結果はいかがですか?
KATANACHICHI
2016/12/03 22:51
KATANACHICHIさん
Halfvarssonの躍進はここ数年目覚ましいものがありますが、個人的にはあともう1つパンチにかけていたように思います。今シーズン序盤で完全にエリート・アスリートの仲間入りをしましたね。彼の目標はライバル、ノルウェーの選手を抑えて、誇り高きスウェーデン人として、不動のKing
of Skiになることですから、これからが楽しみです。

ロシアは男女共に世代交代中ですが、国を上げたドーピング問題で、クロカン選手もかなり厳しい目が向けられていました。そんな中で男女共にしっかり上位に入ってきていますね。色々な国の選手同士が競り合うレースはやはり見ごたえがあります。

ロシアの女子は癖のある滑りをする選手が多い印象なので、Matveeva の滑りが洗練されているように見えますね。見映えのする選手ですし。

日本人選手は今シーズンは良いワックスマンに恵まれて、例年よりは少ないストレスでレースに取り組めているようですが、世界の壁は厚いです。宮沢、吉田、石田 3名が既に消化したレースでFISポイントを獲得しています。
Blythe
2016/12/04 19:08
ひとりよがりのようなコメントにご丁寧なお返事のコメント誠にありがとうございます。新たな超新星と記述されたJohn Hosflot Klabo 15km C も好成績で総合二位でしたね。1996年生まれだから本当に若くて素晴らしいですね。残念ながら、映像をまだ見たことがないので早く見たいです。世界選手権NHK今回も放映してくれますかね?
ところで、お伺いしたいのですが、W杯の様子などおそらくインターネットで御覧になっていらっしゃるのだと思うのですが、誰でも簡単に見られますか?有料なのでしょうか?
日本人選手が世界選手権に出場できることを願っています。でないと、クロカンの放送削られる可能性でてきますよね。ジャンプとコンバインドに押されっ放しで.....。
KATANACHICHI
2016/12/05 20:05
KATANACHICHIさん

インターネットライブ放送は、残念ながら簡単に見ることは出来ません。ライブ中継ではありませんが、お勧めなのはYoutube です。2016 (又は来年に入れば2017) + レース開催地名で検索すれば、色々出てきます。ちなみに、今シーズンのWCレースは全て、Youtubeで映像の閲覧が可能です。しかしながら、管理者の都合で突然削除されたりすることがあります。昨日のレースなどは、2時間後ぐらいにはアップされていました。だいたい遅くても2日後位には、誰かしらがアップしています。

ジャンプは葛西、高梨、伊藤、コンバは渡部暁斗にメダルの期待が持てることから、WSCのTV放送は間違いなくあると思いますが、ここ最近の傾向として、クロカンは録画放送のみですね。
Blythe
2016/12/05 21:39

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